2016.12.17
AED(自動体外式除細動器)に関する知識
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AED(Automated External Defibrillator:自動体外式除細動器)について
AEDとは、心臓がけいれんし、血液を全身に送るポンプ機能を失った状態(心室細動)になった心臓に対し、電気ショックを与え、正常なリズムに戻す(除細動)為の医療機器です。
AEDには、心電図機能がついており※1、心臓の動きを自動解析し、電気ショックが必要な時にのみ、音声による指示によって人がスイッチを押し、電気ショックを流す仕組みになっています。
心停止の原因は、80%以上、心室細動が原因です。心室細動を起こした心臓を正常に戻す唯一の手段が電気ショックだけであるので、出来る限り早急にAEDによる蘇生処置が必要なのです。
AEDによる電気ショックは、いつでも成功するものではありません。何よりも、「時間との勝負」です。早ければ早いほど成功率※2は高いのです。当然、遅れれば遅れるほど、成功する確立は、だんだん低くなって行ってしまいます。人が心停止を起こし、AEDにより蘇生できるタイムリミットは10分です。
1分経つごとに 成功率は7~10%づつ低下して行きます。救急車が到着するまでの平均所要時間は6分です。しかし、6分経過時の成功率は40%なのです。そして、9分経過してしまった時は、10%以下です。
したがって、救急車が到着する前に 患者の近くにいる我々市民が、一分一秒でも早くAEDを使用して電気ショックを行う必要があるのです。このため、2004年7月よりAEDを医療従事者ではない一般市民でも使用できるよう法改正され、人が多く集まる場所にAEDが設置されるようになってきました。
※1 波形を写し出す画面の付いている機種もあり、心電図の代わりにもなるものもあります。
※2 成功率とは、患者が生存して退院する可能性を言います。
<心室細動について>
心室細動とは、心臓の筋肉が痙攣したような状態になり、血液を送る機能を失った状態になる不整脈です。この心室細動は、誰にでも、いつでもどこでも、起こる可能性があります。
この心室細動の唯一の治療方法が、除細動器(AEDなど)で電気ショックを行うことです。愛知万博の際は、5人の方々が心臓麻痺で倒れ、設置してあったAEDにより、4人の命が救われました。
<心臓震盪について>
脳震盪は聞きなれた病名で頭に衝撃を受けた際、ふらついたり意識が朦朧とする現象ですが、心臓震盪とは、特に胸に衝撃を受け心臓麻痺(心室細動)を起こした状態の場合を言います。
心臓震盪は、まったく健康な子供に起こり得る突然死の原因となります。特にスポーツ関係者は、この心臓震盪に関する知識を知っておく必要があります。
2007年4月30日、高校球児の打球が、ピッチャーの胸を直撃し、心臓震盪を起こしましたが、卒業生が寄贈したAEDが備えてあったため、その少年の命が救われたことがありました。これは幾度となくテレビ等で報道され、ご存知の方も多いと思います。
心臓震盪は、胸部に ある強さとタイミングで衝撃が加わった際、起こります。そのタイミングは、心電図の波形(PQRST波)のT波の頂点よりも10~30msec手前の20msecタイミングの間に衝撃が加わった時に起こります。このタイミングで衝撃が加わった時だけ、心臓震盪は起こります。
したがって、悪条件(心臓震盪を引き起こす、胸部に加わるある衝撃の強さと、脈拍のタイミング)が偶然重なった時、心臓震盪が起こる可能性があり、健康などんな子供にでも、起こり得るのです。
胸に何かが当り子供が倒れたら、まず早急にすべき事は、意識と呼吸があるか無いかを確認することです。しばらくの間、様子を見ていては手遅れになりかねません。一刻を争うのであり、意識と呼吸が無ければ、すぐさま心肺蘇生法CPR※を始め、迅速な除細動をすることです。
心臓震盪を起こした心臓を 蘇生出来る唯一の手段が、AEDなのです。
※ CPR:Cardio-Pulmonary Resuscitationの略語で、心肺蘇生法のことです。脳組織は、4~6分で不可逆的変化を来たします。CPRは、心臓と肺の機能を他動的に維持させ、脳の機能を維持、回復させることが目的で、心肺脳蘇生法(Cardio-Pulmonary Cerebral Resuscitation )とも言われています。
(参考) 心肺蘇生法のABCとは
A : Airway 気道確保
B : Breathing (人工)呼吸
C : Circulation 循環(心マッサージ)